切り文字表札のニュートレンドを探れ
表札のデザインも年々進化しています。最近、特に人気が出ているのは切り文字ですが、その人気とデザインの変遷を検証します。
影の魅力
「切り文字」とは、書いた紙から切り取った文字のことではありません。ガラスや金属や木を使って作った、立体文字のことです。
切り文字の特徴は何といっても、その独特のたたずまい。平たい板の上にただ文字を書いただけの看板と違い「影」が浮き出ることで、物質としての存在感を強くアピールします。古来より人間は、心理的に「闇」を恐れますが「影」には強く惹かれます。それは、光のない「闇」とちがって、「影」とは希望の象徴「光」の別の側面であるから、といわれています。平面の物質にも、光のないところにも、「影」はできません。また、どんな色の光も「影」になってしまえばその色を失い、黒一色になります。それゆえに人は複雑な彩り以上に、単純な影によって想像力を強く刺激されるのです。
光が当たる部分が明るくなればなるほどその下にできる影も濃くなり、強烈な対比が人の脳裏に強い印象として残ります。そしてその影のでき方は、一日の時間や天気状況や見る角度によって千変万化な彩りを見せます。
印象的な切り文字
「切り文字」は、文字による意味を人に伝えるだけでなく「影」の演出によって、その時々でまったくちがった様相を見せてくれます。
例えば、朝の太陽に照らされてできた影と、夜のライトに照らされてできた影。それは、活気が溢れる朝日の影と、妖気に満ちたネオンの影というように、同じ文字の持つ二つの異なった面を表現します。またある時には、朝焼けに照らされた影と、夕焼けに照らされた影。期待の一日が始まる影と、安堵の一日が終わる影。あるいは、晴天の影と曇天の影。クッキリした力強いシルエットと、おぼろげで幻想的なシルエット。このように同じ文字であっても、そのそれぞれがその日にしかない独特の表情を持っています。そしてそれは言葉以上に多種多様なニュアンスで、無言のうちに見る人に語りかけてきます。
この影の持つ多様性が、切り文字とそれを見る人の心にいろいろな変化をもたらすのです。
表札に応用させた技術
その対外アピールの強さから商業用の看板などに多用される切り文字ですが、その独特の存在感から自家の表札として利用する人も増えてきています。レーザーカットで切り出す場合の材質は、ステンレスや鉄、型で作る場合の材質は、アルミ鋳物や陶器などが使われています。自分の好みの素材を、好きな書体を使って加工し、しゃれたデザインで表札にする家も増えています。
材質や加工法の組み合わせで、自分の表現したい表札を作ることができます。
最新トレンド
エッジの立った美しい切り文字を作るには、レーザー加工が適しています。レーザー加工による切り文字の方式には、大別して「切断」「マーキング」「彫刻」の三種類があります。対象素材は、アクリル・合板・金属・さらには布など、多種多様です。「切断」とは、ベースになる板から素材を完全にくりぬいたり切り離したりして作り出す方法です。「マーキング」とは、素材を浅く彫って文字や模様を表すやり方です。「彫刻」とは、素材を深く彫り込んで作るやり方で、凸凹による立体感を強く表現します。
こうした素材や加工法は、表現したい内容によってそれぞれ異なった風格をあらわすことができます。
数年前は単なるゴシック体しかなかった切り文字表札にも、オリジナルフォントのタイプや筆記体タイプ、漢字、立体感のあるタイプ、カッコイイ表札、かわいい表札など様々な種類が生まれています。見比べれば、我が家に似合うものがきっと見つかるでしょう。
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